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「繁茂する」  堀江和真

素材:釣糸、森の木、針金

 

 この森での制作は4年目になる。そして、なんとなく最後になりそうな気がしている。4年前と現在とでは、少しだが人生の風景が変わった。良くなったのか?悪くなったのか?は判断ができない。だけど、ダラダラと居心地の良さに負けて、ここに居座ってはいけないという思いがある。だから多分去っていくべきなのだと思う。まぁ理由は色々あるんだけどさ。

 

 さて、それで今年の作品はどうしようか?と思った。例年のボクの作品は、作家の労働量と作品の質量が同時に膨らんでいくようなものであった。例えば、糸を巻き付け続けた結果であったり、枝を針金でつなぎ続けた結果であったり、そういうシンプルでわかりやすいものだった。

 今年もそれで行こうと思った。でも、途中で気が変わった。一見しただけでは、よくわからないもの、糸と木が絡まって、凝縮され繁茂している……それだけの作品をつくりたくなった。作家の労働としては単純である。枝を組んで釣り糸を巻き付けて作品のどこかに付け加えていく。それだけである。単純な労働の成果物を整然と並べてみせるのではなく、その逆…絡まりあわせて、訳のわからないものを作りたくなった。理由はとくにない。気まぐれである。もしかしたら自棄になっているのかもしれない。

 

 でもそれでいいと思っている。シンプルで分かりやすいものが作りたかった4年前。今はなんだか、もっと混乱していたい、自分でも理解ができない要素を取り入れたいと思いはじめた。

 

来年の今頃、ボクはどうしているんだろうか?ってこれて作品の紹介になっているのかな?

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